キッティング工程1:機器の導入
キッティングの工程の第一段階は機器の導入です。機器の導入を正確に行わなければ、後の工程に支障が出る可能性も否定できません。キッティング作業を行うときは、導入前にしっかりと設定できる状態なのか確認しましょう。
PCソフトウェア・接続端子などを確認すべき
導入を決める前の段階で、検討しているPC・ソフトウェア・接続端子といった内容を確認することが重要です。実際に、導入したものの自社の環境では設定できないという失敗談は、よくあります。まずは、ソフトウェアなどの周辺機器が適合するかよく確認してください。複数の機器を一度に導入する場合は、USBポートの数や電源容量が十分かどうかも重要な要素になります。
キッティング工程2:マスターPCの用意
大量のPCやソフトウェアなどのセットアップ・初期設定を行うときは、全てのPCの統括となるマスターPCを用意します。例えば、100台のPCの設定をするときに1台1台行っていれば非常に時間がかかります。そのため、事前にマスターPCを用意しておくことがおすすめです。
ライセンスを確認すべき
マスターPCを使って作業するときはライセンスに注意してください。OSやソフトウェアをそのままコピーするとライセンス違反になります。マスターPCを用いれば作業の大幅な削減が可能ですが、プリインストールOSは使用できません。キッティングの際はボリュームライセンスOSを用意しましょう。OSやソフトウェアをコピーするときはよく注意してください。
キッティング工程3:マスターPCのイメージ作成
マスターPCを用意した後は、他のPCにコピーするための元データを作成します。この元データをマスターPCのイメージと呼びます。コピーする前に必ず準備してください。マスターPCのイメージは、コピーされて各PCに行き渡るため、イメージの内容が適切かよく確認しましょう。
SIDが重複しないようにすべき
SIDが重複しないように注意しましょう。各PCにはSIDという端末固有の識別番号が割り振られています。そのため、マスターPCをコピーしてクローンを作成するとSIDが重複し、問題が発生してしまうでしょう。これは、Windowsに搭載されている「sysprep」を利用してコピーを作成することで解決できます。
キッティング工程4:クローニングの作業
マスターPCのイメージを作成した後は、他のPCにコピーした環境を適用させます。このマスターPCのイメージは、マスターPCの環境をコピーした「クローン」です。そのため、このクローンを作成する作業をクローニングと呼びます。
コンプライアンス・作業時間を考慮すべき
このクローニング作業ではライセンスに違反してコピーしてしまわないよう、コンプライアンスには十分注意しなければなりません。また、キッティングを行う機器の数が多ければクローニングの時間も膨大になります。クローニングを行うデータにも無駄がないか確認することが重要です。
キッティング工程5:PCの情報管理
マスターPCを使ってキッティング作業をした後も、各PCごとに各設定を行わなければなりません。例えば、各種PCには個別でネットワークの設定をする必要があります。また社内のルールに従って資産管理を行うためのシール貼付や、シリアル番号を管理することも必要です。
細かなミスを想定し対処すべき
事前にどのようなミスが起こるか想定することが大切です。自社でキッティング作業を行うとミスが生じやすく、ささいなことで業務に支障が出てしまいます。また、付属の製品の中には代替が利かないものもあるため、保管方法にも注意しなければなりません。細かいミスを防ぐためには、保管方法についての社員教育が必要です。
キッティング工程6:データ移行など
PCのキッティング作業では、データ移行も個別に行う必要があります。具体的には、ドメイン参加やメール設定、古いPCの情報や基本業務に必須となるデータを移行しましょう。また、最後に各PCが正常に稼働するか、設定は間違っていないか動作確認を行ってください。
社内のトラブル対応体制を整えるべき
社内でキッティング作業を行った場合、メールに接続できない場合やネットワークに繋がらないといったトラブルが多いです。正常に動作を行えていても、導入直後は問題が発生しやすいです。そして、さまざまな問い合わせの増加が予測されます。そのため、キッティング作業を行う前に、このような内容の問い合わせに対応できる体制を整えておきましょう。
キッティング導入後の注意点
キッティング作業を行った後にもマスターイメージを更新するなどの対策が大切です。特にWindowsの更新プログラムは年に2回行われるため、古いデータはバージョンアップしなければなりません。古いマスターイメージのままであれば、新しく導入したPCの方がバージョンに対応できなくなるでしょう。キッティング作業を実施した場合でも、アップデートを行う必要があり、再度作業をしなければいけないこともあります。
運用中もPCだけでなくネットワークやソフトウェアでもトラブルが発生しやすいため、注意してください。定期的に診断を行い安定した運用ができるような体制を考えることが重要です。
注意点を理解してキッティングを行いましょう!
キッティングの工程は大きく6つあり、その工程ごとに注意点があるため、作業前によく確認しておくことが重要です。例えば、新しく導入する機器が社内の環境に合っていなければ、接続や設定を行うことはできません。また、マスターPCを使ってキッティング作業をするときにはOSやソフトウェアのライセンスに注意する必要があります。キッティングの前にどのようなトラブルが起こるか想定し、確実に行いましょう。