メンタルヘルスケアとは?
メンタルヘルスとは、「精神面の健康状態」を意味しています。メンタルヘルスを適切に保つため、企業は、社員の職場環境を整えなければなりません。それが「メンタルヘルスケア」です。メンタルヘルスケアを行う方法としては、相談窓口を設ける、ストレスとのつきあい方について教育研修を実施する、などが挙げられます。
そして、ストレスチェックもまた、メンタルヘルスケアの方法の1つです。以下でストレスチェックについて紹介します。
ストレスチェック義務化法案とは?
まず、ストレスチェックを義務付けている、「ストレスチェック義務化法案」について、簡単に解説します。
- ■ストレスチェック義務化の背景
- ストレスチェック義務化法案が成立した背景として一番大きなものは、労災申請の増加です。職場が原因の精神疾患にかかる人が増加し、それに伴い労災申請も増加しているのです。精神障害の労災申請が年に1400件以上もされる、という状況もあり、メンタルヘルスケアの必要性が高まりました。そのような中で、メンタルヘルスケアの1つとしてストレスチェックを行う、ストレスチェック義務化法案が成立しました。
- ■ストレスチェックの目的
ストレスチェックの目的は、メンタルヘルス不調、つまり精神的な健康状態の不調が予測される人を早期に発見し、精神疾患などの不調を未然に防ぐということです。ストレスチェックをするメリットとして、以下の3点が挙げられます。
- 1. 職場環境が原因となる精神疾患を防ぐ
- 2. 精神疾患の社員による損害倍増請求、という企業のリスクを減らす
- 3. 休職者が出た分の業務のしわ寄せを防ぐ
では次に、企業がどのようにストレスチェックを行えばよいのか、説明します。
ストレスチェックをどう実施すればいいのか?
ストレスチェックが義務化されましたが、具体的に企業は何をすればよいのでしょうか?方法としては、①自社で行うか、②外部に委託するかの2種類です。
① 自社で実施する場合
自社でストレスチェックを実施する場合は以下の様な流れになります。
- 1. ストレスチェック実施者の選定
- 実施できるのは、医師、保健師、精神保健福祉士に限定されます。この中から実施者を選定して依頼をする必要があります。
- 2. ストレスチェックの実施
- ストレスチェックを実際に執り行います。ストレスチェックのチェック項目については、厚生労働省が作成した「職業性ストレス簡易調査票」を利用すると費用を抑えられるでしょう。これは、厚生労働省が作成したストレスチェックのチェックリストで、無料で利用することができます。
- 3. 結果の通知
- 医師などの実施者により、ストレスチェックの診断がされ、その結果を本人に通知します。本人と実施者以外は閲覧できないなどの要件があるので、情報管理の仕組みが必要となります。
- 4. 面接指導の実施
- 実施者が「面接指導が必要である」と認めた労働者が、面接指導の希望を申し出た場合は、医師による面接指導を実施しなくてはなりません。
- 5. 集団分析
- 集団分析は努力義務(実施しなくても法的制裁を受けない義務)ですが、集団分析を行うことで、企業としての傾向を分析できます。それにより、組織の問題点を明らかにし、職場環境の改善に役立てることができます。
② 外部委託する場合
ストレスチェックを外部委託すると、上記で述べた項目を自社で行う必要がなくなるので、担当者の負担軽減になります。また、自社だけでは対応できない、専門家によるカウンセリングや医療機関への紹介といったサポートを受けることも可能です。
ストレスチェックの実施や情報管理、実施後のフォローなど、負担が大きいと感じる企業や、ストレスチェックだけではなく、メンタルヘルスのトータルケアを必要としている企業は、外部委託を活用するのがおすすめです。以下で、外部委託した場合に受けられるサービスの内容を紹介します。
メンタルヘルスケアサービスの内容は?
外部委託をする場合、具体的にどのようなサポートが受けられるのでしょうか?以下の様なサービスが挙げられます。
- ストレスチェックの実施
- 集団分析の実施
- ストレスチェック後のフォローや指導
- ケースに応じた医療機関の紹介
- カウンセラーによる24時間対応相談窓口
- 企業の課題と解決策の提示
ストレスチェックについては、どの業者も提供していますが、その他のサービスの内容は業者により異なっています。カウンセリング、人事組織のコンサルティング、医療機関との提携など、強みや特徴がありますので、事前に確認する必要があります。
まとめ~メンタルヘルスケアをどう行う?~
ストレスチェック義務化は、2015年12月から始まっています。1年に1回以上行う必要がありますが、実施や管理の体制は整っているでしょうか?
また、義務化されたのはストレスチェックだけですが、メンタルヘルスケアの方法は他にもあります。ストレスチェックの実施方法だけでなく、これから自社のメンタルヘルスケアをどう行っていくかについて、考えてみてはいかがでしょうか?