実践マネジメント心理学

第57回:次の20年のマネジメントを考える(「個」と「組織」の関係性について考える編 その5)

【実践マネジメント心理学】 第57回:次の20年のマネジメントを考える(「個」と「組織」の関係性について考える編 その5)

こんにちは、株式会社 経営者JPの井上和幸です。
このコーナーでは、マネジャーの皆様が日々のマネジメントで役立てて頂ける実践的な心理学の理論と活用法、「科学的に上手くやる、人・組織の方法論」、をご紹介してまいります。
ここ数回、「次の20年のマネジメント」について皆さんとともに考えていくシリーズをお届けしております。今回は、その第8回、「個」と「組織」の関係性について考える編のその5です。

流行りの1on1ミーティング。その落とし穴

いま、「1on1ミーティング」が話題となっています。Yahooさんなどが取り組んで書籍化されたことなどで火が付いたようですね。
そもそもは、いまに始まったことではなく、もともと昭和の時代の日本企業では「個別面談」としてよく取り組まれていたものですが、それに新たに光が当たった感じでしょうか。

個別に部下と向き合う時間を取り、業務の進め方や悩みについて相談を受けてあげる。上司の部下マネジメントとして王道と言える、良い取り組みです。
しかし、これも、ときと場合による、ということを、読者上司の皆さんには、ぜひご認識頂ければと思います。

「風見鶏部下」をのさばらせない!

あなたが部下同士のいざこざに巻き込まれたとします。 
そんなときに、「いったいどうしたのだ」と、部下に個別に話を聞く人がいますが(あなたはどうでしょう?)、これ、実はあまりよい方法ではなく、むしろムダであったりします。

考えてみれば当たり前です。
たとえば、AくんとBさんの間にいざこざがあれば、両者の間に反発心が起こります。互いに自分がかわいいですし、それぞれの言い分がありますから、Aくんが「Bさんがひどい」と言っていることについては、Bさん自身はひどいと思っていないし、逆にBさんが「Aくんはひどい」と思っているところは、Aくんはひどいと思っていないのです。

その話を聞いている上司は、どうでしょう。

Aくんの話を聞いているときは、「なるほど、そうか」
Bさんの話を聞いているときも「なるほど、そうか」

と聞いてしまいます。

真実はその間のどこかにあるはずなのに、個別に話を聞いていてはそれがわかりません。情報がゆがんでいるのに、個別に聞いていては、事実が見えなくなるのです。

また、せっかく親身に聞いてあげても、報われないことがあります。

たとえば、Bさんと個別に面談をしたときに、上司から見てBさんのほうに非があると思って諭しても、Bさんが素直に聞いてくれない人であれば、「上司は私をかばってくれない、Aくんをひいきしている」、と思われたりします。

たとえ、そのときBさんが本当は自分に非があると思っていても、個別論で箴言してしまうと、「上司はAくんの肩をもって、私はかわいがってもらえないんだ」という話にもなりかねない。上司のあなたとしては損な状況です。
結局、自分が割を食ってしまう可能性が高いのです。

PAGE TOP