実践マネジメント心理学

第56回:次の20年のマネジメントを考える(「個」と「組織」の関係性について考える編 その4)

「首尾一貫感覚」を持たせてあげる。

首尾一貫感覚(SOC:センス・オブ・コヒーレンス)を持たせてあげることも、非常に重要です。

首尾一貫感覚とは、要するに、起承転結がきちんとつながるか。原因と結果の法則ではないですが、「こういうことをやれば、次はこうなる」と、かかわっている人が信じられる状態のことです。

トップや上司がぶれることの何が悪いのかというと、まず1つに、戦略がぶれて何がやりたいのか部下がわからなくなるという問題があります。
また、それに加えて、メンバーたちにとっては、今日やろうといっていたことがそのまま担保されないことが深刻な問題となるのです。

「当社はこっちに向かっているんだ。会社の方針として取り組んでいるんだ」と今日言われていたのに、明日になったらいきなり違う方針が出てくるということでは、メンバーは、「やって意味があるのか」という無力感とストレスを抱えてしまうのです。

昨今、「自分に自信が持てない」「できない」と思いがちな部下が増えていると、各処で伺います。
「自分に自信が持てない」「できない」と思い込むことには、過去の経験や家庭の問題などのトラウマを精神的に抱えてしまっているのだという話もあります。

しかし、アドラー心理学などによれば、どんなひどい状態が過去にあったとしても、「ひどい環境だったから、こんなひどい自分になってしまった」という深刻な状況の人もいれば、「ひどい環境だったから、いまこんな風に自分は頑張れている」というハッピーな状況の人もいます。

つまり、原因は直接的には関係なく、「未来に向かって自分がどのような目的を持ち、行動しているか」、という自らの選択によるのです。

私たち上司としては、「有意味感(やりたい)」「全体把握感(見える)」「経験的処理可能感(できる)」「首尾一貫感覚」をメンバーに提供する組織運営を実現することで、この荒波を乗り切っていきたいものです。

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