実践マネジメント心理学
こんにちは、株式会社 経営者JPの井上和幸です。 このコーナーでは、マネジャーの皆様が日々のマネジメントで役立てて頂ける実践的な心理学の理論と活用法、「科学的に上手くやる、人・組織の方法論」、をご紹介してまいります。 ここ数回、「次の20年のマネジメント」について皆さんとともに考えていくシリーズをお届けしております。今回は、その第7回、「個」と「組織」の関係性について考える編のその4です。
何かとストレスの多い現代、また情報洪水に溺れる人も多く、これらの背景もあると思われますが、一方で世代論的にも「草食系」人材が(特に男性に…)増えている今、注目されているのが「レジリエンス(回復力)」です。 その考えにのっとれば、私たち上司は、マネジメントとして、組織として、次の3つを提供することで部下たちのレジリエンス(回復力)を高め、メンタルタフネスを養成することが可能となります。 1 「有意味感」 (やりたい) 何よりもまずは、部下が「やりたい」と思えるテーマをしっかり与えます。 2 「全体把握感」 (見える) 全体で何を作っているのかを見せずに、 部分でねじを回してばかりだと不安になります。大抵の仕事は何かの仕事の1つのパートでもありますが、その中で自分がどんなパートを担っているのかがわからないとモチベーションも持てなくなりますよね。 たとえば、間接部門などではよくありますが、資料作成の仕事をしていても、それだけだと、自分は何の仕事をやっているんだろうと不安になります。 その際、その資料はお客様にどのように提案されて、どんな反応が期待され、どんな商談獲得につながっているのか、を作成者に説明・共有してあげることは、全体把握感を与えることにもなり、また、有意味感ともつながります。 3 「経験的処理可能感」(できる) 成功体験を積んできている人は、仮にまったく新しいことをやろうとしたときにも、なんの確証もないにもかかわらず、本人はきっとやれるだろうという(勝手な、幻想の)確信感を持っています。実際にこういうときは、楽観的に勘違いしているくらいの人のほうが強かったりします(笑)。 ただし、この感覚を持つには、成功体験を積むしかありません。 手足が動かない人については、「ベビーステップ」で、小さなことからでよいので何かをきちんとやりきった経験を積ませるしかありませんね。もしくは、過去の成功体験を思い出してもらいます。大学時代でも子供の頃でもよいので、人生の中で何かうまくいったことを振り返り、「自分にもできる」という感覚を持ってもらうこともできます。 あるいは、本人は大したことだと思っていなくても、「以前、この仕事はできたじゃないか」と投げかけてあげることはできますよね。