実践マネジメント心理学
こんにちは、株式会社 経営者JPの井上和幸です。 このコーナーでは、マネジャーの皆様が日々のマネジメントで役立てて頂ける実践的な心理学の理論と活用法、「科学的に上手くやる、人・組織の方法論」、をご紹介してまいります。 今回と次回、いま話題の「100年時代の人生戦略」の中で、私たち上司世代は今後、どのようなキャリア戦略が必要なのかについて考えてみたいと思います。
あなたは現在、何歳でしょうか? 40代?30代?このコラムの読者の中心世代はこのへんだと思いますが、あるいは50代、60代かもしれません。 では、現在勤務している会社の定年年齢は何歳ですか? 多くの会社が60歳定年で、5年間の再雇用延長あり、という形をとっているのではないかと思います。 一方、大手企業を中心に役職定年は60歳手前から50代半ば、会社によっては50過ぎから40代半ばに引き下げられています。役職定年とは、役職者が一定の年齢になったら、管理職を外れ、専門職に異動する制度です。 当社には昨今、次のようなご相談をされる方が増えています。 「50歳を過ぎて役職定年が近づいてきています。責任ある立場から引き下がり、給与も7割、下手をすると5割程度になってしまいます。残りの10年を補助業務で生きることには耐えられません。 まだまだ第一線でやれる自信もあるし、やりたいので、新しい場を求めたい。私を役職者として使っていただける会社を紹介してもらえないでしょうか」 ここで人生は大きく2つに枝分かれすることになります。 ひとつは、希望の通り、新たな場で50代、60代とマネジメントの第一線で活躍できる場を見事につかみ、満足いく人生を踏み出す人。 もうひとつは、希望に合った新天地を見つけることが叶わず、現社の降格条件をのまざるを得ない。あるいは、早期退職を選ばざるを得ず、フルタイムの新天地に移ることもできずに、仕事人生の山場を早めに終えることになってしまう人。 その分かれ道は、一体、何によるものなのでしょうか? 2016年に、ベストセラー『ワーク・シフト』著者のリンダ・グラットンが『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略』を発刊し、これもまた話題を呼んでいます。 寿命の伸びを推定し、今後の医療技術の進展や社会環境の進化も踏まえて21世紀以降に生まれた人たちの大半は100歳以上の人生を生きると予測(「コーホート平均年齢」を元に、2007年生まれで今9歳の子供は平均寿命が105歳前後となると予測。同じく、今20歳の人は平均寿命100歳、40歳の人は平均寿命95歳になるとしています)。 これをもとに、生活、資産形成、働き方などについてのあり方を論じた好著です。 リンダ・グラットンに大見得を切るつもりはありませんが、今回と次回、この前提の元、日本で働く管理職の私たちは、今後どのようなキャリア戦略を考えていけばよいかについて、ちょっと考えてみたいと思います。