実践マネジメント心理学

第23回:「ずるいマネジメント」補足

4タイプ別マネジメント法

そもそも「ずるいマネジメント」は、

・部下の依存的状況を脱し、自立型人材へと成長させる
・内発的動機付けによって、「アメとムチ」(外発的動機付け)を与えられなくてもモチベーション高く仕事する状況をつくる

の2つが原理となっています。

ただ、必ずしもすぐにこの状態まで全メンバーを持っていけるかというと、なかなかそうは問屋がおろさない場合もあるのは現実です。

このことを理解するには、拙書『社長になる人の条件』(日本実業出版社)などでご紹介しました「人材の4タイプ」を踏まえていただくことが肝要かと思います。

これは、人材を、「スキルが高い/低い」「人間力が高い/低い」で4象限切って、「スキル・高」×「人間力・高」=リーダータイプ(人財)、「スキル・高」×「人間力・低」=フォロワータイプ(人在)、「スキル・低」×「人間力・高」=ビギナータイプ(人材)、「スキル・低」×「人間力・低」=ルーザータイプ(人罪)、とするものです。

「ずるいマネジメント」はメンバー全員にリーダータイプ(人財)に育ってもらおうというアプローチです。この象限にいるメンバーは、実績も出せスキルもあり、人としても成熟していて、更にまだまだ成長が期待できる人。こんなリーダータイプこそ、権限委譲し任せ切ることで上司は「ずるいマネジメント」を完成させるのです。上司としては、彼らに「コーチング」できることが望ましいでしょう。平素信頼し任せながら、折々に彼らの壁打ち相手になる。コンディションを整えてあげることと、必要に応じてヒントを提供してあげることが必要です。

さて、その手前にいる、その他3タイプですが、

まず、ビギナータイプ(人材)。これは、まだ実績やスキルはないけれど、成長が期待できる人です。新人の多くがここに当てはまるでしょう。彼らに必要なのは、「トレーニング」です。スキルを持っていませんから、いきなりリリースはできません。上司の皆さんが、本書内で言う「補助輪」になってあげることが必要となるタイプです。

次に、一般組織に最も多く存在しているのが、フォロワータイプ(人在)です。社歴も長く、そこそこ実績やスキルはあるけれど、自発的行動に薄い人、指示されたことのみやる社員、「ただそこにいるだけの人」です。彼らに必要なのは「モチベート」、動機付けです。彼らには、まずは腰を上げさせるために、短期的には外発的動機付けも必要悪ではあります。報奨金の設定や目標クリアを条件とした昇格、あるいは業績未達に対する厳しい罰則(減給や降格など)も活用し、まずは腰を上げさせることです。しかし、それはあくまでも一過的なもので、本質的には仕事そのものの意味ややりがいを理解させ、自発的人財へと引き上げなければいけません。

最後に「人罪」、ルーザー。実績もスキルもなく、成長が期待できない人です。企業にとってはお荷物でしかありません。彼らにやれることは、上記の2タイプからわかる通り、「トレー二ング」&「モチベーション」。手間がかかりますが、致し方ありません…。「人罪」に対しては、「人材」もしくは「人在」になる可能性があるのかどうかという、見極めが必要です。「人罪」から抜け出すのが難しいという判断された人には、やはり厳しい決断を下さざるを得ないでしょう。

上司である皆さんには、まず、チームのメンバーが「人在」「人材」「人罪」のどれであるかを把握し、それぞれどのように対応するかを考える必要があります。

その上で、ぜひともチームメンバーを「人財」化し、「ずるいマネジメント」を達成していただければと願っております!


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著者:井上 和幸 株式会社 経営者JP代表取締役社長・CEO    
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、人材コンサルティング会社取締役、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)マネージングディレクターを経験後、2010年2月に株式会社 経営者JPを設立。
現在は、経営者の人材・組織戦略顧問を務める。人材コンサルタントとして、経営人材の採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。 著書に『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)、『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)等。メディア出演多数。

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