できるマネジャーはノセ上手。部下のタイプを見て、言い方を変えています。同じことを言っても響く人と響かない人がいます。
たとえば上記のように、「大丈夫」「頑張れよ」と言われたときに、勇気づけとしてとらえる部下と、単にプレッシャーととらえる部下と、両方が存在します。どの人にも同じように声をかけるのが平等・公平と思われている方も多いのではないかと思いますが、同じ言い方では相手のとらえ方が、結果、千差万別、変わってしまうのです。
今回と次回、知っておくとかなり使える、部下の特徴別・言い方使い分けをご紹介します。前半の今回は、部下が、
・周囲からの目をどうとらえているのか
・過去のことをどう見ているのか
・未来をどう見ているか
といった点に着目してみましょう。これは、心の知能指数といわれる「EQ」の24要素の中から3つ紹介するものです。
1.社会的自己意識
社会的自己意識とは、「自分が周囲からどう見られているか」をどれくらい意識するのか表します。
これが高い人は、周りからどう見られているかを気にします。よって、「あなたのこういう行動がお客様から評価されているよ」という言葉が励みになります。一方低い人には「あの人はあなたのことをこう思っているよ」と伝えてもそんなに響きません。ある意味唯我独尊ですが、周囲の目を気にしない分の腰の軽さや大胆さがあります。
2.抑うつ性
抑うつ性とは、過去に対して目が向く度合いを表します。低いと過去についてくよくよしたり、引きずったりします。
これが高い人は、過去を引きずらないという良い面はあるのですが、一方で、過去から学べないという側面もあります。ポカを繰り返すタイプですね(笑)。「そういえばあのときこういうことをしたのがまずかったよね」と気づかせてあげることが大事です。
一方で、高い人にとっては不安になるので(また、自分自身が重々その失敗を痛感しており引きずっていることが多いので)、決してぶり返しツッコミをしてはいけません!
3.特性不安
特性不安は未来についてどうみるかを表します。高い人は「なるようになるさ」ということで、未来があいまいでも、そのほうが青天井でいいや、と思うタイプです。
一方、低い人は未来が見えないと心配になります。低い人の場合は、計画をきちんとひかせてあげて、こんなふうにやったらうまくいくよね、と想定させてあげることが大事です。
創業経営者の方は総じて特性不安が高い方が多いです。ただし、そういう会社の部下の人は、カリスマ経営者の下で方針・指示に忠実に従い仕事をする人が多く集まる傾向があり、特性不安が低い方が少なくありません。
この場合危険なのは、経営者の方針がいきなり変わったり、あるときからあやふや・曖昧になってしまったりするときに、社員たちが、自分たちは今後どうなってしまうんだろうと集団不安に駆られることです。トップは明確な方針を、しっかり出し続ける必要がありますね。
これが高い部下は、基本的には、ガンガンいかせればOKです。あまり細かいことをいわなくても「いっちょやってみますわ」などと言って飛んでいきます。リスクとしては、うかつな人も多いので、ざっぱくなまま森につっこんでいくことのないように、状況を確認してあげたほうがよいですね。