「決める力」とは、決断力です。
リーダーというのは毎時間、毎分毎秒が、決断の連続です。
決め方にもその経営者の個性が出ます。一人で決める人、衆知を集め合議する人、さまざまです。
決められないトップやリーダーがいると、組織は混乱や停滞をきたします。向かうべき方向を得られない組織は、迷走するか、動けなくなるかのどちらかです。
20世紀型大企業に多いのが、決断の段階での“意思決定のタライ回し”です。
「あの役員は、どう言ってるんだ?」
「皆がよいというなら」
「先に副社長に聞いてみてくれ」
決めないということもひとつの意志決定です。しかし、それがどんな災いをもたらすか、過去に世間を騒がせた偽装問題、粉飾問題や大型倒産などに見てとれますね。どれも、意思決定の先送りがもたらした悲劇です。
また、そもそもの偽装問題や先の粉飾決算の勃発自体は「間違った決定」による悲劇です。
ただ決めればよいというわけではないのは、当たり前のことです。
「決める力」のトレーニングは、何でも自分で決める癖をつけるところから始まります。それこそ、日常のあらゆるところで即決を自分に課すのです。自分なりの理由づけも忘れずに。
例えば、食事時、「僕も同じものを」はナシです。なぜ自分はハンバーグを注文するのか、無理やりにでも理由をひねりだしてください。「この店の名物だから」「給料日だから自分の好物を」「しばらく肉類を断っていたので」なんでも結構です。
決断できる人とは、自分のなかに判断基準を明確に持っている人のこと。その基準を養うための、基礎トレーニングです。