実践マネジメント心理学
こんにちは、株式会社 経営者JPの井上和幸です。 このコーナーでは、マネジャーの皆様が日々のマネジメントで役立てて頂ける実践的な心理学の理論と活用法、「科学的に上手くやる、人・組織の方法論」、をご紹介してまいります。 第16回は、ちょっと目先を変えて、上司であるあなたの人材市場価値について考えてみます。
先日(※連載第15回参照)、部下からの転職相談を受けたあなたは、ふと、自分事としても「転職」の二文字が気になって仕方なくなりました。
“俺も課長になって5年。ここまで頑張ってきたけど、この先、部長になれるのはいつなのかなぁ。今の部長もまだまだ、その上に昇進する感じはないしな。うちの業績も横ばいだし、この先環境が上向くような気もしないし。”
思い余って、ある週末、某転職サイトに初めて登録をしてみました。 すると、数時間後、幾つかの紹介エージェントや企業から「ぜひお会いしたい」「ぜひあなたのお力をお貸しください」というWEBメールが届いたではありませんか!
“おお!俺も結構、市場価値あるんだな。この調子なら、いまより好条件の会社にすぐに移れそうだぞ!”
大学時代の就活以来、久しぶりの職探しに、こうして一気にのめり込んでいきました。さて、大丈夫でしょうか?本当にあなたは市場から買われる人材なのでしょうか?
そもそも、人材価値はどう推し量られるのでしょうか?
あなたが市場から求められる理由、それは、ずばり、次の2点のいずれか(だけ)です。
あなたが、 (1)「お値打ち人材」か (2)「お墨付き人材」」か です。
「お値打ち人材」とは、現在の人材価値(期待できる仕事力・持っている人脈や営業基盤・その他付随して発揮してもらえそうな業務上の特技や専門性など)と比べて、その人の年収レベルが低く見える人材のことです。
注意していただきたいのは、絶対額としての年収が低いことがよい、といっているのではないことです。 700万円の年収だが1000万円の人と同じパフォーマンスが期待できる、 1000万円の年収だが1500万円クラスの職務レベルだ、 2000万円だが5000万円以上の社長と比べてそん色ない、 そういうことです。
「お墨付き人材」とは、ずばり、客観的に目に見える世界でその人材が評価されている、ブランドを確立している人、複数の実績が業界やメディアで取り上げられ評価されている人です。 業界有名人、タレント経営者などが、このパターンを極めた方ですね。
結局、引き抜かれる人材というのは、この「お値打ち人材」か、「お墨付き人材」か。あるいは、その双方か。これしかありません。最低でもいずれかひとつを満たすことが、あなたを〝市場から買われる人材“に育てます。