実践マネジメント心理学

第10回:アドラー心理学②「変われない」のではなく、「変わらない」という決定をした

「刺激」と「反応」の間に、「認知」「意味付け」が存在する

アルフレッド・アドラー(1870年〜1937年)は、日本では知名度が低いですが、世界的にはフロイトやユングと並ぶ3大心理学者として名をなしており、「自己啓発の父」と呼ばれています。彼の理論は、カーネギーやマズロー、またフランクリン・コヴィー博士などにまで影響を与え適用・応用されており、およそ最近私たちが読んでいるビジネス系自己啓発書の内容は、アンソニー・ロビンズであれ、ジェームズ・アレンであれ、マクスウェルであれ、アドラーの説を受けていると言われています。

前回もご紹介しましたが、アドラーは体調不良や、あるいは不安心理、その人の性格やときに失敗に至る行動についてまでも、「それは、あなたが選択したことである」と説きます。
アドラーは、人の性格や行動は「原因論」的に生まれつき決まっているのではなく、すべて自分の意志で決めたものなのだ、と言います。

心理学では「刺激-反応モデル」という考え方があります。
「言うことを聞かない」という刺激に対して→「ムカつく」という反応(感情、思考、行動)が起きる、となりますが、アドラー以降、現代心理学ではこのような考え方を否定しています。 「刺激」と「反応」の間には、「認知」や「意味付け」という受け手本人の“解釈”が存在する。
「言うことを聞かない」という刺激も、「反抗」と取るのか、「どうすればよいのか戸惑っているのかも」とか「単純に説明が伝わり切っていないのかも」などと捉えることもでき、前者と後者とでは、その結果、自分にわき起こる感情はまったく別のものになります。後者であれば、「あれ、申し訳なかったかな?」というお詫びの感情かもしれません。

この「刺激」-「認知・意味付け」-「反応」モデルは、NLPやコヴィー博士の「7つの習慣」などでもよく紹介されますが、これらも源流はアドラー心理学なのです。

マネジャーにとっての大きな武器、「意味付け」コントロール力

ここからマネジャーである我々が学びたいのは、

「すべては自分が意味付けしていることであり、それは変えることができる」

ということです。

上司の行動、部下の行動について、それに「ムカつく」と決めているのは、自分自身である。 それでやる気が損なわれたと思っているのは、自分が「やる気を起こしたくない」から、上司や部下の言動・行動をムカつくものだと選択しているのだ、と。

前号に続き、繰り返しのメッセージとなりますが、「どう行動するか、決めているのは自分」なのです。

前号、部下に対して、
「その行動を選んでいるのは、君自身なんだよ。で、どうする?」(それはキミが決めること。僕には決めることはできないんだよ。)
という自己選択・自己決定を促しましょうという話をしました。

当然ですが、私たちマネジャー自身も、自らの思考・行動を、よい内容のものに「意味付け」ることが、日々求められており、その「意味付け」如何で、担当チームはポジティブな活力ある組織にもなれば、不満の巣窟のようなストレス蔓延チームにもなるのです。

組織・チームは、マネジャーが意味付けた通りのものになる、のです。


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著者:井上 和幸 株式会社 経営者JP代表取締役社長・CEO    
現在は、経営者の人材・組織戦略顧問を務める。人材コンサルタントとして、経営人材の採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。 著書に『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)、『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)等。メディア出演多数。

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