人材定着のノウハウ
5月、新緑のさわやかな季節である一方、4月の新年度から1か月が経過し、その反動ともいえるモチベーション低下、いわゆる「五月病」に陥る人が多いのもこの季節です。 この季節をいかに乗り越えるかが、1年間を良いチーム状態で過ごすうえでのカギともいえるでしょう。 今号では、チームメンバーの主体性を導き出すことで、「五月病」の回避策を考えます。
「働きがいのある職場」って何でしょうか?
抽象度の高い表現ですが、よく使われる言葉でもあります。慶応義塾大学教授で人事・組織論に関する著書を多く出されている高橋俊介氏の新著「ホワイト企業(PHP新書)」では、メンバーの成長が実現出来ることと定義されています。
これは居心地の良い、いわゆる「働きやすい職場」とは一線を引いています。 つまり、給料が高いとか、きれいなオフィスで働ける、人間関係にも恵まれているという基礎的な次元の欲求を満たすだけではなく、自ら高いレベルでの目的意識を掲げ、それに向かって、自分自身を成長させながら走り続けることが出来る職場のことと言い換えられます。
私がかつて在籍していたリクルートグループは、正に「働きがいのある」会社だと感じていました。
相互に研鑽しあい、上司も部下も皆、活き活きと働く組織。ただ、そこに安住することなく、自らの夢や目標に向かって自立転身していく風土が醸成されていきます。
それは、決して「働きやすい職場」ではありません。 ただ単に「働きやすい職場」であれば、自立転身などせず、定年まで勤め上げればよい訳ですから。
時には周囲から厳しいフィードバックを受け、悔し涙を流すようなこともありながら、それでも自己実現を目指したいと思える風土。 では、そのような職場風土を創り上げるには、上司は何に気を付ければよいのでしょうか?
キーワードは「主体性」です。