実践マネジメント心理学

第9回:アドラー心理学①「鬱だから会社に行けない」のではない!?

「変わる」も「変わらない」も、部下本人の自己決定

アルフレッド・アドラー(1870年〜1937年)は、日本では知名度が低いですが、世界的にはフロイトやユングと並ぶ3大心理学者として名をなしており、「自己啓発の父」と呼ばれています。

彼の理論は、カーネギーやマズロー、またフランクリン・コヴィー博士などにまで影響を与え適用・応用されており、およそ最近私たちが読んでいるビジネス系自己啓発書の内容は、アンソニー・ロビンズであれ、ジェームズ・アレンであれ、マクスウェルであれ、アドラーの説を受けていると言われています。

さて、先の通り、アドラーは体調不良や、あるいは不安心理、その人の性格やときに失敗に至る行動についてまでも、「それは、あなたが選択したことである」と説きます。

ちょっとカチンとくる人も、少なくないのではないかと思います。

アドラーは、人の性格や行動は「原因論」的に生まれつき決まっているのではなく、すべて自分の意志で決めたものなのだ、と言います。

自分が赤面症なのは、対人関係で失敗したくない(「相手に嫌われたらどうしよう」「好きな相手に告白して振られたらどうしよう」など)ことへの自己防衛で、「自分が傷つきたくない」という「目的」に対しての身体的な選択なのだ、と。

生理学的な部分までをこう言われると、さすがにという気はしますが、病は気から、というのもまた真実なので、彼の主張の妥当性はあるのだとも思います。

上司の役目は、部下に「よい選択」を促すこと

さて、こうしたアドラー心理学から、私たちは何を学べるでしょうか。

彼のメッセージであり、その後の古今東西の自己啓発メッセンジャーが説いているのは、
「すべては自分が自己選択したことであり、それは変えることができる」
ということです。

いま、よくない状態にあったとしても、それを「良くない」「できない」と決めているのは、自分自身である。環境が恵まれていないといっても、それを「良い」と意味付けているのは自分自身なのだ、と。

どう行動するか、決めているのは自分。

上司である私たちは、「5月病」の部下がもし発生したら、もちろん気持ちの部分で寄り添ってあげることは前提としても、「で、どう行動すると、自分にとって良い方向に向かうと思う?」「このまま休みがちな日々を過ごすのも自分だし、心機一転、晴れやかに活動してみるのも自分が決めることだよ」、という自己選択・自己決定を促すことでしょう。

「で、どうする?」(それはキミが決めること。僕には決めることはできないんだよ。)

ある面、しっかりと突き放すことも、大事なのですね。
新年度本番。上司である私たちも部下たちも、大人として気持ちの入った、活力ある仕事を行うために、アドラーのメッセージを旨く活かしていきたいものです。

アドラー心理学には「課題の分離」「共同体感覚」など、私たちのマネジメントのみならず、人生に対しても大きな影響を及ぼしてくれるであろう理論が多くあります。
次回も引き続き、アドラー心理学をご紹介してみたいと思います。


【バックナンバー】

著者:井上 和幸 株式会社 経営者JP代表取締役社長・CEO    
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、人材コンサルティング会社取締役、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)マネージングディレクターを経験後、2010年2月に株式会社 経営者JPを設立。
現在は、経営者の人材・組織戦略顧問を務める。人材コンサルタントとして、経営人材の採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。 著書に『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)、『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)等。メディア出演多数。

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