一定規模を超えたら...①
これで納得!「労務管理」の勘所

「常時10人以上」の労働者を使用するってどういうこと?

この「常時」という意味、分かりますか?

従業員構成は入退社で変動することがありますね。繁忙期に臨時で従業員を採用して10人以上になっても、通常時は10人未満であれば作成・届出義務はないことになります。

いつみても10人を超えるようであれば作成・届出義務が生じるのです。

■ 常時10人以上の「労働者」の範囲、お分かりですか?

では、次に「10人以上」の従業員の範囲を確認しましょう。

法令では「労働者」と表現されます。企業には正規従業員以外にも、パートタイマーやアルバイト、出向者、派遣社員など様々な形態の者が存在することでしょう。

ここでの疑問は、正規従業員以外に誰が「常時10人以上の労働者」に当たるのかです。次で対象範囲を確認してみましょう。

1.パートタイマー・アルバイトなど
労働基準法では、雇用形態の区分を問わず、事業または事務所に使用され賃金を支払われる者を「労働者」としています。従ってパートタイマー・アルバイトのような正規従業員以外の者であっても「労働者」のカウントの対象になります。
2.出向者
出向者は、在籍出向と移籍(転籍)出向者ごとにカウント方法が変わります。
【在籍出向】の場合
在籍出向の場合、籍は出向元にありますが、出向者は出向元と出向先の両者ともに労働契約が成立します。従って、出向元・出向先ともに「労働者」のカウントの対象になります。
【移籍(転籍)出向】の場合
移籍(転籍)とは、出向元を退職、出向先で雇用されることです。労働契約は出向先と間で成立しています。従って出向先のみで「労働者」のカウント対象となります。
3.派遣社員
派遣社員は悩みますね。派遣先で仕事をしていても、あくまで労働契約は派遣元との間で成立します。従って派遣元の会社においてのみ「労働者」のカウント対象となります。

作成・届出義務がある「事業場」とは?

「常時10人以上」は企業全体でカウントされるのではありません。

そのため「事業場」という表現になっています。各事業場単位でカウントするのです。企業によっては、事業場がいくつかに分かれていることも多いですね。

企業全体でみれば(例)常時15人の従業員がいても、それぞれ独立したA事業場(8人)、B事業場(7人)に配属されていれば、それぞれでみれば常時10人以上の労働者を使用していないため、就業規則の作成・届出義務はありません。

■ 労務管理上の留意点

どういう場合に作成・届出義務があるのか整理ができました。

届出は、各事業場ごと所轄労働基準監督署にします。

実は、労務管理の勘所は義務がない10人未満の事業場での作成にあります。就業規則に準ずるものを作成するのです。

常時10人未満の小規模事業場ほど就業規則がないことによるトラブルが多いもの。企業のルールが不明確では、快適な職場環境からは遠ざかってしまいますね。

参考:就業規則作成の手引き(東京労働局)


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著者:小岩 和男 日本橋人事賃金コンサルタント・社会保険労務士小岩事務所 代表    サイトリンク    
中央大学法学部卒業後、㈱東武不動産(東武鉄道グループ企業)入社。営業部門経験後、人事総務部門の課長を経て独立。労務リスクマネジメントに特化、企業経営者・人事担当者を支援中。講演、書籍(専門誌)の執筆実績も多数。著書に『社員10人までの小さな会社の総務がよくわかる本』(明日香出版社)がある。
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