「管理」で捉える総務業務
第3回:「使用管理」と「記録管理」、「契約管理」と「文書管理」の目的と考え方

記録管理

事実を正確に残すことであり、履歴管理の意味も含みます。言った、言わないのトラブルを防ぐために契約書を作成したり、法律で定められている議事録(株主総会、取締役会)、重要会議の議事録などの作成業務がそれに当ります。或いは、社内対応の指標として、実際に対応した、その状況や判断基準を決められたフォーマットに記録し、今後の対応の参考にすることもあります。先の「使用管理」と一緒で、事実を積み重ねることで、見えてくるものがあります。新たな規程や社内体制、社内基準などの構築が必要となる場合もあります。

但し、単に記録を積み重ねるだけでは意味がありません。その奥に潜む問題点や解決策を見つけ出そうとする「問題意識」を持って、定期的に記録を分析しなければなりません。それも、同一の担当者が毎回行うと、ルーチンワークとなってしまいます。たまには、新たな視点、素人的な発想ができる、担当外のメンバーに分析してもらうことも必要です。

契約管理

総務部が行う業務には、必ず取り決めが必要となります。対社内であればそれは、社内規程や要領、内規といった決まりごとであり、対社外であればそれは「契約」となります。例え少額物品の購入であっても立派な「売買契約」の関係となります。

契約を締結する意味は、債権債務の関係を明確にし、双方に課せられた義務、やるべき事が成されない場合のペナルティについて、あらかじめ双方で確認をしておくことです。

「リスク管理」が、実際に生ずる、或いは生じた事態への対応であるのに対して、「契約管理」は、双方の役割、業務区分を明確にすることにより、事前に想定されるリスクを排除していく行為です。広い意味でのリスク管理でもあります。

契約は法務。このように考えている総務担当者は多いに違いありません。しかし、契約を含めた法務的素養は、今後ますます必要となってくるはずです。

文書管理

前回記した「使用管理」や「記録管理」、そして今回の「契約管理」。それらの業務により発生する必要書類を管理する業務がこの「文書管理」です。

単に、キャビネット内に書類を入れておくことだけではありません。ファイリングと称して、ファイル用具を統一して、キャビネットに住所を付け、直ぐに取り出せる状態にするだけでもありません。そもそも、各業務につき、どのような書類が必要とされているのか。或いはどのような書類により「使用管理」、「記録管理」そして「契約管理」が効率よくできるのか。このような根源的な検討をすることが「文書管理」の目的です。書類を整理することが目的ではありません。業務の効率化が目的なのです。
さらに、一度作ってしまったフォーマットはなかなか見直されることはありません。しかし、環境や状況が変われば業務自体が変わるのと同様に、その業務に必要とされる各書類、書式についても同様に改訂されるべきです。


【バックナンバー】

著者:豊田 健一 『月刊総務』編集長    
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験後、ウィズワークス株式会社入社。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』の編集長を務めると同時に、ウィズワークスの社内組織、ナナ総合コミュニケーション研究所所長として企業のインナーコミュニケーションを研究。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの理事や、総務育成大学校の主席講師も務める。一方、10余年におよぶ社内報編集経験から、多業種の社内報創刊・リニューアルをコンサルティング。ウィズワークス社内報事業部長を兼任。
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