現代の人事・労務の業務とこれからの在り方

現代の人事・労務の業務とこれからの在り方

近年、企業を取り巻く環境が厳しさが増す中で、ビジネスの「選択と集中」を加速するという考え方から、収益に直結しない非コア部門を外部業者に委託し、人材の迅速かつ適切な配置を推進する動きが広まりつつあります。

とくに、給与計算(ペイロール)のアウトソース化は、欧米ではすでに普及していますが、日本企業は人事に関わる業務を外部に出したがらない傾向が強く、アウトソーシングの普及は諸外国に比べて遅れをとっていました。しかし、団塊世代の退職に伴う総務・経理業務の人手不足や、マイナンバー制度の導入による業務の煩雑化などで、そうした流れが変わりつつあります。今回は、人事・労務の給与計算の業務とアウトソージング利用のメリットについて、考えてみましょう。

icon現在の人事・労務の業務とは

人事・労務部門といっても、そのカバー範囲は企業によって多岐にわたります。大企業の場合は、総務、人事・労務、経理とはっきり部門や職掌が分かれているでしょう。しかし、日本企業の大半を占める中小企業においては、総務や経理、人事部門の人員配置が手厚いところは少なく、もしかしたら、総務・人事・経理と1人の担当者が全てを担っているということもあるかもしれません。

例えば給与計算の業務は、毎月発生するものだけで、これほどの作業が存在します。

  • 各種手当のデータ入力:従業員からの申請などに基づいて、各種手当の支給データの更新を行います。
  • 勤怠の集計:出勤簿などから、各従業員の出勤日、所定外労働時間などを集計します。支店や店舗があれば、それらもすべて回収しなくてはいけません。
  • 時間外手当の計算:労働時間のデータに基づいて、時間外手当(残業代)を計算します。
  • 社会保険料の控除:雇用保険料、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料を控除します。これらの社会保険料は、従業員ごとに異なります。
  • 源泉所得税、住民税の徴収:源泉所得税、住民税を徴収します。
  • 給与控除の処理:社宅の利用料や財形貯蓄、社員旅行の積み立てや団体保険、給与から引き落とす控除について処理します。
  • 給与明細の配付:紙で配布している場合は、印刷して封入します。
  • 賃金台帳の作成:給与支給日になったら給与明細を全従業員に配布し、賃金台帳を作成します。
  • 退職者の処理:退職者が発生した場合、給与計算(清算が必要な場合)、退職金の計算などを行います。
  • 退職者の雇用保険・社会保険の手続き:退職者の雇用保険、社会保険の被保険者資格の喪失手続きをします。

このほかに、賞与の時期になれば賞与の支給や社会保険料の控除などの業務が発生しますし、年末は年末調整があります。このほか、保険料の利率は毎年のように改正されますし、諸法律の改正なども把握しておかなくてはいけません。

人事・経理部門の人員が少ない場合、毎月の締日から給与支給日まで、給与計算に追われて他の業務が手に負えないということも多いのではないでしょうか。

iconこれからの人事の在り方

「人財」という言葉が昨今流行っていますが、企業にとって従業員は要です。どれだけ経営者が優秀であっても、その理想を実現する従業員なくしては、事業の発展は見込めません。そのためには、どういった人材を採用して、コア人材となるべく育成し、適性に応じて配置していくかという人事戦略が大切になります。

人事は経営をサポートする大切な役目を担っていますが、実際の現場では、先に挙げた給与計算の月次業務のようなルーチンワークに追われて、事業強化のための人事戦略を練るという段階まで至っていない企業がほとんどなのではないでしょうか。

ビジネスのグローバル化などで、企業経営が厳しくなる中、事業基盤の強化には「人財」である従業員をどうやって生かしていくかという戦略が今後ますます重要になっていくのは間違いありません。人事部門を戦略策定に集中させるためにも、定型業務のアウトソース化が必要とされているのです。

iconアウトソーシングの活用が要

給与計算のアウトソーシングを活用するメリットの1つとして、業務量の平準化が図れるという点があります。どうしても給与計算は、締日から給与支給日にかけて業務が立て込みがちですが、アウトソーシングすることでこうした繁忙期の業務量を軽減することができ、残業時間や時間外手当の削減に役立ちます。

とはいえ、「アウトソーシングの活用」=「丸投げ」ではありません。人事データは、人材戦略を練るための大切な情報を多く含んでいるからです。また、税務や労務に関する知識や法律なども、企業経営には欠かせません。人事・労務部門を完全に委託するからといって、「丸投げ」をしてしまうと、社内にこうした知識の蓄積がなくなり、最新情報のアップデートもできなくなってしまいます。委託業者との窓口となるためにも、社内には最低1人でも税務・労務の担当者を置いておくべきでしょう。

iconまとめ

人事部門をどうデザインし、どう活用していくかは、企業経営上の大切な課題です。アウトソースの活用を考える際には、現在の人事・労務の業務内容や業務量を把握したうえで、アウトソーシングによってコア事業にどういったメリットが生まれるのか、経営者と人事・労務部門がきちんと話し合うべきでしょう。

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