労働力減少・超高齢化社会の効果的人事賃金制度!

労働力減少・超高齢化社会の効果的人事賃金制度!

激動の社会経済下、まさに超少子高齢化社会が到来しています。それを裏付けるように法改正(高年齢者雇用安定法)によって、今年(平成25年)の4月から、60歳以降65歳まで「希望者全員の雇用確保措置」が義務づけされました。皆様の企業でも就業規則などの改訂をされたことでしょう。

超少子・高齢化社会だからこそ人事賃金制度の構築・改訂を

「企業は人なり」、言い尽くされた言葉ですが、今後もずっと続く表現に変わりはありません。限られた人材を活かしながら企業経営をするためには、実質65歳定年制とも言えるこの状況を与件として仕組みづくりをしていかなければなりません。60歳定年を前提に現役世代のキャリア・賃金制度の見直しと60歳以降の制度設計を一体として考えるのです。正にこれが「生涯賃金の設計」そのものなのです。

本記事ではこのような生涯賃金の設計方法について概要をお伝えします。人事制度に絶対はありません。社会経済状況、企業の業態、従業員構成、企業風土などを踏まえ自社版を作成してみましょう。今回はボリュームの関係で詳細にはお伝えできませんが、少しでも制度設計(改訂)のヒントになれば幸いです。

人事賃金制度の骨格は「成果主義制度」

現役世代も定年後の継続雇用世代も、成果主義制度で運用していくことになるでしょう。成果とはなにか?この定義が不明確だと制度にひずみが出てしまいます。「成果」=なにかしらの企業への「貢献」と考えてください。次のように考えてみましょう。

1. 組織目標の達成に向けて、従業員一人一人の能力・役割ごとの成果を明確にする
2. ①その成果達成の事実、②達成に向けた取り組み事実を確認する
(確認した結果、顕在化されていれば、それが「組織貢献」というわけです)
3. その顕在化された「組織貢献」を評価し処遇を行うこと

ポイントは、
・個人ごとの「能力・役割が明確」になっていること、
・達成しようとする「成果が明らか」になっている ことです。
この成果主義制度は、従来の年功序列、保有能力の向上を図る能力主義的な日本的雇用慣行が息づまって企業に浸透してきたものです。「保有能力」ではなく、目に見える「顕在能力」で評価して賃金などへの処遇につなげる成果配分制度です。

具体的な人事賃金制度の作りかた

効果的な成果主義制度を実現するために必要な仕組み

上記の成果主義ではなく、各個別企業によっては年功的な賃金制度が馴染む企業ももちろん存在します。熟練工の方で企業経営をされている場合などですね。自社の業界、企業風土、従業員構成などを踏まえた制度を構築したいものです。成果主義制度設計で構築すべき仕組みはおおむね次の制度です。キーワードは、「貢献度」です。

1.能力主義・成果主義に対応した「資格制度」

能力区分、役割区分に応じた社内「貢献度」を基準に等級表を作成します。難しく考えることはありません。自社を見渡してみてください。自社の従業員を貢献度の違いで大きくグルーピングをしてみるのです。おおよそ、4~6くらいに分かれることでしょう。これが資格等級(貢献度ごとのグループ)になるのです。自ずと新人・担当者・ベテラン・リーダー・管理職、といったように分かれますね。

入社したばかりの従業員は、能力を「保有」する段階。キャリアの積み重ねにより、能力「保有」の段階から「発揮」段階まで詳細に定義づけをしていきます。これらの等級ごとの基準は自社の業種、業態などにより異なります。これを書き出していくのです。上位にステップアップするための昇格ルールがここで明確になるわけですから、明確な動機づけになりますね。ポイントは等級を細分化しないこと。おおよそ4~6等級位に区分するとよいでしょう。

2.「資格制度」による「賃金制度」

「貢献度」に見合った賃金制度にするため、上記1.による資格区分(貢献度ごとのグループ)がUPしていくごとに賃金を上昇させていくのです。この資格区分は、毎年UPすることは考えにくいですね。上位の資格区分に応じた貢献ができるようになるには、当然、現等級での経験の積み重ねが必要です。

現等級での積み重ねによる賃金UPの仕組みは、その等級ごとの「範囲給」にすることがポイント。等級ごとに基本給の上限と下限を決め、昇給ピッチを表示させた賃金表(昇給表)を作成するのです。同じ等級にいる間は、毎年その等級におけるピッチで昇給。いずれ上限に達しますから、上位の資格にステップアップしない限り昇給停止になってしまうわけです。かたや優秀な従業員はその等級の上限に満たなくても上位の資格に昇格することもありうるというわけです。

3.賞与制度

賞与の支払いは法的な義務づけはありません。賞与こそ業績連動給とすべきです。従来「基本給の○ヶ月支給で人事評価によって額を増減する」といった制度が多くみられましたが、賞与こそ成果主義による短期業績の評価で処遇すべきでしょう。就業規則で、賞与は業績連動、企業業績によっては支給がない場合もありうる旨の記載の有無を確認してみましょう。

4.退職金制度

退職金制度も法的な義務づけはありません。長期勤続を前提としていた時代から問題化されていましたが、いまや企業経営の存続を揺るがしかねない問題です。退職金の支給額を保障する制度ですから積立額不足が大問題になっているのです。 退職金制度自体がそもそも必要かどうかという点をまず確認しましょう。就業規則などの記載はどうなっていますか?

従来は、「勤続○年で○○円の退職金を支払う」、などの制度で運用していた企業が多かったようです。貢献度より年功を重視した制度ですね。これからは退職金制度自体にも在職中の貢献度を反映させていきましょう。前述の等級ごとの滞留年数ごとに付与ポイントを設け、その累積ポイントに所定の単価を乗じて退職金額を算定するなどの制度とすると、まさに「貢献」に見合った制度とすることができます。

5.人事評価制度

以上1~4を実現するために欠かせないのが、人事評価制度(人事考課制度)です。毎年の賃金(昇給)や賞与額の算定のために従業員に成績をつけ、対応した処遇をするために構築します。その一方で成果を出すための経営者からのメッセージを伝える制度として構築することがポイントです。将来への動機づけですね。

どういう「能力」・「役割」を求めているのか、しっかりすり合わせをすることです。要は評価のフィードバックです。これがないと納得性のない形骸化した制度となってしまいます。

「成果主義」制度、構築(再構築)のコツは!

成果主義のポイントは「貢献度」と解説しましたが、成果主義を突き詰めていくと完全歩合給制度のような体系になりますね。極端な例では、売上が上がらなければ賃金ゼロといった具合です。もちろん最低賃金、出来高払いの保障給などの法的制限によりゼロにはなりえませんが、個人商店の集まりのようになってしまうことでしょう。形式的な雇用関係があるだけで、実態は請負契約のような関係ですから人事賃金制度が形骸化してしまうことでしょう。

能力主義と役割主義を融合した制度を構築する !

実質65歳定年制時代の人事賃金制度は、現役世代と60歳以降で一体的に考える、と記載しましたが、自ずと総額人件費の増大の問題は頭を悩ます問題です。従業員の生涯賃金を鑑みながら、従来型制度と成果主義的なシステムを融合させるような賃金体系の導入をお勧めします。貢献度による賃金体系を、能力主義と役割主義の折衷型に融合させるのです。

(例)
1. 20歳代から30歳代=【能力等級による、能力給(能力の蓄積・発揮)】
2. 40歳の管理職クラス=【役割等級による、役割給(役割責任の重さによる給与)】
3. 更に上位の管理職・従業員兼務役員クラス=【完全に役割給のみ】
4. 60歳以降の再雇用者=【定年再雇用時に役割給を設定・毎年リセット】

などの賃金体系にすることです。自身の年齢を重ねることで能力向上・発揮を図り企業への貢献度合いの割合を徐々に役割の重さへとしていくのです。もちろん年齢を重ねても必ずしも能力向上が見られない場合や管理職クラスへの昇格・昇進しない場合もありますが、まずは自社のモデル体系を作成してみることです。

昇進・昇格は中長期的視点で

同じ等級に留まっている限りは、その等級の上限に達するまでは昇給します。次の上位等級にステップアップできるかどうかの判断には、従業員評価が必要です。短期的(1年ごと)な評価の積み重ねが中長期評価になります。経験や実績を積むことで、より高度の等級に昇格できるかは自ずとわかります。

例えば管理職になるということは、部下をマネジメントしていく役割です。マネジメント=部下の能力を発揮させていくこと=「役割」と考えると判りやすいですね。従って、管理職として「役割」を全うできる人の育成には時間がかかるのです。

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