実践マネジメント心理学

第21回:承認欲求:「キレる、モンスター部下」の対処法

キレやすい人に人格否定は御法度

仕事のミスで逆切れしやすいのもこのタイプです。
「言ってくれなかったじゃないですか」などとすぐ言います。もちろん、こちらの失態があったとすれば、「伝えてなかったな、ごめん」でいいですが、こういう人は手練手管で事実をねじ曲げて話しがちです。優等生タイプが多いので、自分がミスしたことに対して過剰反応しがちなのですね。ハリネズミの心理状態で、失敗を認めたら負けだ、恥ずかしいことだ、という考えを根底に持っています。

だから上司としては、「それをあげつらって笑いものにしようという意図は、こちらにはないよ」ということをちゃんと伝えることが大事です。
ミスがあったときも、頭ごなしに「なんでできてないんだ」と言わずに、「どういう状態なの?」と事実を事実として相手から言わせ、その上で「じゃあどうしようか」と冷静に会話をすることが必要なのです。

承認欲求が強くてキレやすい人というのは、平素から職場の雰囲気をピリピリさせるので、対処に手間がかかる厄介な存在ですが、そんな周囲の迷惑をよそに、人の感情には鈍感で、自分自身に非常に敏感。何かというと、いちいち自分自身の人格否定につなげて受け止めがちです。
もちろん誰に対しても、怒るときに人格否定をしては絶対にしてはいけませんが、このタイプに対しては、より「君のキャラクターや能力を非難したり、さげずんだりしているわけではないよ。ただ、こういうやり方が違っているんじゃないかな」と、人格が問題なのではなく、やり方や手順について指摘しているのだということを、ことさら強調して会話したほうがいいでしょう。

逆に、うまくいったときは、あえて人格をほめてあげます。「君という存在がすごいね」と言われると、モンスター部下の溜飲が下がります。ただし、あまりやりすぎると依存症になる危険があることには注意をしてくださいね。

なお、ここでの話は、大前提として、「性格的にはどうしようもないな」という人のケースです。そうでない人には、全能感を与えることは望ましくありません。

大切なのは存在を受け止めること

ともあれ、「テロリスト化する危険」をチームに内在させるのが、このタイプのなんとも悩ましいところですが、テロ化する原因は「自分の気持ちを受け止めてもらえていない」という寂しさや怒りがあります。 自分が認められる居場所があり、みんなが前向きに自分の存在を受け止めてくれているという状況があれば、暴発はあまりしないものです。
日頃から彼・彼女の言動や素行については注意しつつ、温かいコミュニケーションと明るい職場ムードを保つよう気をつけましょう。

長い目でみれば、性格が変わってくるケースもあります。たとえば、女性の中にキレやすい人もいますが、キレる自分が恥ずかしいくらいにみんなが精神的に安定している組織にいれば、その彼女の性格は変わっていきます。


「困った部下」の対処をご紹介しましたが、そもそも、組織のリスクを深刻に考えなければならない人が紛れ込んでしまっているケースもあります。こうした部下の存在がわかったら、早めに人事、ベンチャー・中小企業であれば社長に相談することをお勧めいたします。

*出典:『ずるいマネジメント』(井上和幸・著/SBクリエイティブ・刊)
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著者:井上 和幸 株式会社 経営者JP代表取締役社長・CEO    
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、人材コンサルティング会社取締役、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)マネージングディレクターを経験後、2010年2月に株式会社 経営者JPを設立。
現在は、経営者の人材・組織戦略顧問を務める。人材コンサルタントとして、経営人材の採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。 著書に『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)、『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)等。メディア出演多数。

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