自律と成長のための人事制度作り
第10回:等級制度を考える(2)

【自律と成長のための人事制度作り】 第10回:等級制度を考える(2)(小笠原 隆夫)

 等級制度の中で、「専門職制度」を取り入れた複線型の構成にすることは、ごく一般的に行われるようになりました。
 しかし、必ずしも意図通りの運用を行うことができていない事例も多く目にします。

複線型、専門職制度のメリット・デメリット

複線型のメリットは、その人の能力、特性に合わせたキャリアプランが構想しやすいということです。かつてのように、管理職になるしか道がなかった制度から、キャリアルートを複線化することで、仮にリーダーシップやマネージャー適性といった人をまとめる力は劣っていたとしても、それを補って余りある技術スキルや専門知識といったことも評価して、その能力が発揮しやすい役割を与えていくことが可能になります。

一方で難しいのは、その専門性をどうやって評価し、認めていくのかという点です。この方法を誤ると、複線型の制度としたことがデメリットになってしまいます。
うまくいっていない事例を見ると、ほとんどの場合が専門職と認める基準が厳格すぎるか、逆に緩すぎるかのいずれかのケースです。

前者では、せっかく専門職制があっても、相当に難しい国家試験に合格しなければならないなど、そのコースに進める者がほとんどいないために、実質は複線化されていないのと同じことになっています。特に制度の導入当初は、安易な逃げ道に使われたくないという心理から、どうしてもこちらの傾向が強くなるように思います。

後者では、専門職制が管理職になれない人の処遇アップの方便に使われてしまい、本来の意味でのスペシャリストとはかけ離れたものになってしまいます。専門職というのは、マネジメント力の不足を技術力で補っているような、総合力では同等のイメージですが、まさに能力不足の人材に対する安易な逃げ道に使ってしまっている状態です。

このあたりのさじ加減はなかなか難しく、公的資格や社内資格といったもので専門性のレベルを測る、レベルに見合った資格取得を条件にする、何らかのテストなどを実施する、学会や研修会といった各種活動を評価に取り入れる、などの組み合わせで、専門職に相応しいかどうかの判断をしていることが多いです。

何が専門性と認められるか、それにどの程度の価値があるのかなどは、各社で事情が異なるので、制度を運用しながら、自社に合った基準を模索していくことになるでしょう。
複線型、専門職制度の導入にあたっては、まず厳格すぎる基準設定には、注意しておくと良いと思います。

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