WORKS on HRD
第1回:新卒採用争奪戦の経済学

【WORKS on HRD】第1回:新卒採用争奪戦の経済学(高原 俊彦)

2012年晩秋から始まったパートアルバイト採用難問題はその後、アルバイト賃金の高騰の原因となり波及していきました。その影響は今年12月にカットオーバーする2015新卒春採用活動に大きな影響を及ぼすような不安を抱いています。この穏やかでない感触は、多店舗を展開され店舗スタッフにパートアルバイトの方を多数採用される業態に従事されている方々は、既にお感じになられていることと思います。
広く人事といっても従事する業態により日々蓄積する経験値は違い、事象に対する感度が違ってくることを証する例のひとつです。しかし異なる業界の人事担当者が均質なマーケットでパイを争うのが新卒採用業務。採用マーケットに対する感度の違いは、新卒採用活動の初動や準備の精度の違いに結びつく可能性を否定できません。
2015新卒採用マーケットで、御社は如何にして勝ち組となるか。

以下は皆さまの採用活動成功へのヒントになると信じます。

新卒採用には高度な熟練が必要

採用活動の成果は、製品の価格を変える、就業規則を変更する、などのように自社の都合で簡単にコントロールできるものではありません。相手の出方により結果が変化しうる、いわば管理不可能な業務といえます。

学生の意思や学生がエントリーする他の企業動向、公務員他の試験の合否、大学院などの進学先など、各々の競合動向が御社の採用業務の管理不可能変数として働きます。市場に労働力の買い手と売り手が各々単数しか参加しない場合を除いて、応募者すなわち交渉相手との複合的な取引が発生するのです。
採用業務に発生する取引の側面をより自社に有利にする事にプライオリティを置いて作戦を練る必要があります。

新卒採用業務を差別化できる比較優位なポイントを自社内にもつ企業は多くありません。ビッグブランドを有する企業でも既述の競合変数を考えた場合は盤石だとは言い切れない事から、求職学生の行列ができる企業も採用結果が常に安泰とは言えないのです。
そもそも業界内でトップクラスを争う訳ですから、実際には採用安泰企業といってもその絶対数は知れています。しかも同業内であれば業界内順位を誇ることができても、他業種との公平な競争下では更に事情が違ってきます。新卒採用業務は御社の本業におけるシェア争いより遥かに困難を極めるビジネスの側面を持っています。

人事の管轄する業務の中でも指折りの自力でコントロールしにくい仕事だと言っても過言ではありません。新卒採用に従事する担当者には高度な熟練が必要なのです。

新卒採用で注力したポイント

新卒採用活動に他社対比、当社の特色を出せるステージや手法はどこかにないのでしょうか。
筆者は埼玉に本社を置く上場前の介護系企業や、日本でのヘッドクォーターを大阪に持つ外資系電機メーカーで人事職掌に在籍し、新卒採用プロジェクトのマネジメントを行った経験があります。どちらの会社もビッグブランドではなく、学生就職人気企業ランキングに名を連ねているわけでもありません。

また多額の採用費用を突っ込むでもなく、皆様同様に標準サイズのR社やM社の就職ナビを掲載し、あくまで普通にプル型運営を行いました。SNSなどのメディアを駆使して学生にプッシュアプローチを掛けることもありませんでした。それでも数千名のエントリーを集め、説明会に誘導し十分な母集団形成を行う事ができました。結果的に対数上も自然な競争率で選考・採用活動を進める事が可能だったのです。
筆者がこの二社の新卒採用で注力したのは以下の2点です。

①説明会を通したリアルな学生とのコンタクト強化
②コンピテンシーモデルによる選考基準可視化

それぞれについて、次に詳細をすすめます。 

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